プロテオスタシス維持のために
構造異常タンパク質に対応するために
熱ショック応答
タンパク質は一般的に熱に弱い。
誘導される様々な熱ショックタンパク質(HSP: Heat Shock Protein)は、
分子シャペロンとして機能し、生じる異常タンパク質の蓄積から細胞を保護する。
目玉焼きは、最も身近なタンパク質凝集
卵白に含まれるアルブミンなどタンパク質は熱で構造が壊れ、固く凝集してしまう
生体では、分子シャペロンによってタンパク質凝集を巧みに防ぐメカニズムが存在する
小胞体ストレス応答(UPR: Unfolded Protein Responese)
小胞体は分泌タンパク質および膜タンパク質のフォールディングの場である。そのため、哺乳類細胞では細胞全体のおよそ1/3もの、非常に多くのタンパク質が小胞体へと挿入される。そのため、異常タンパク質の蓄積が起これば、小胞体に小胞体ストレスと呼ばれる負荷がかかることになる。小胞体ストレスの惹起は、小胞体だけではなく、細胞全体の恒常性破綻を引き起こし、アルツハイマー病に代表される神経変性疾患や糖尿病などの代謝異常病に深く関わる。小胞体ストレス応答は、小胞体における異常タンパク質を監視し、小胞体ストレスから細胞を保護する。その戦略は実に巧妙である。
我々は、UPRの重要な戦略の一つである小胞体関連分解に焦点を当て、そのメカニズム解明と疾患との関係に注目し、研究を進めている。
主要UPR経路 それぞれのセンサータンパク質が構造異常タンパク質を認識し、下流にシグナルを伝達し、小胞体のプロテオスタシスを維持する。
ストレスを乗り越えるための環境づくりとは
熱ショックなどの環境要因または遺伝的要因によって異常タンパク質が蓄積した場合、細胞はストレス状態に陥る。ストレス応答は、分子シャペロン群の誘導だけではなく、ストレスに耐性を持つための環境づくりが行われる。ストレスに強い細胞内環境を理解することで、関連する疾患の治療戦略または老化メカニズムの解明に迫れるのではないかと考えている。
[タンパク質を取り巻く環境]
[研究内容に戻る]