タンパク質誕生以前

生命のセントラルドグマ

DNAからRNA、そしてタンパク質へと情報が伝わる。
この生命のセントラルドグマがタンパク質の一次構造を決定する。

誕生

合成装置リボソーム

遺伝情報に基づいて、アミノ酸はペプチド結合で繋がり、ポリペプチド鎖が形成される。

これがまさにタンパク質の誕生であるが、これはアミノ酸の鎖に過ぎない。
タンパク質がタンパク質として働くには?

成熟

カタチを作る

遺伝情報に規定されたアミノ酸配列がタンパク質として多彩な機能を発現するために、
それぞれのタンパク質は固有の「カタチ」を獲得する必要がある。

研究1研究2研究3
糖鎖修飾

タンパク質成熟に欠かせない修飾の1つに糖鎖付加がある。
小胞体で付加されるN型糖鎖は、タンパク質自身に親水性の性質をだけではない。
N型糖鎖はフォールディングタイマーとしての役割があり、小胞体におけるタンパク質品質管理の重要な目印となる。

酸化的フォールディング

ジスルフィド結合はタンパク質の立体構造形成には重要である。
小胞体では、約20種類のPDIファミリーが存在し、ジスルフィド結合を触媒する。
タンパク質成熟の過程でどのようにジスルフィド結合形成が起こるのだろうか。
またPDIファミリーにはどのような役割分担があるのだろうか。

コラーゲン特異的分子シャペロンHsp47

1980年代後半、永田和宏教授(現・京産大タンパク質動態研究所所長)によってHsp47はコラーゲン特異的分子シャペロンとして同定された。
コラーゲン成熟において必須の役割を果たすHsp47がどのように働いているのか、ノックアウトマウスなどを駆使して機能解析を行っている。


正しく処分するには

細胞が健康に保たれるためには、タンパク質が適切に分解される必要がある。
細胞は分解されるべき基質をどう見極め、分解へ導くのだろうか?

研究1研究2研究3
タンパク質分解を制御する

それぞれのタンパク質の品質管理を正しく理解することで、タンパク質の寿命を制御出来るかもしれない。
疾患の原因となるタンパク質の寿命を短くすれば、治療法の開発に大きく前進する。

巨大分子を分解する

小胞体関連分解では逆行輸送チャネルを介して基質をサイトゾルに排出する必要がある。
コラーゲンのように巨大で排出しにくい基質はどのように分解されるのだろうか?

コラーゲン繊維

小胞体関連分解

小胞体は、タンパク質成熟の場であり、分解の場から区別される必要がある。
異常タンパク質の蓄積を防ぐため、末期的な異常タンパク質は小胞体から排除される必要がある。
小胞体関連分解(ERAD:ER-associated degradation)は分解基質を認識し、排出し、サイトゾルのユビキチン・プロテアソーム系で分解する一連の系である。
研究室では、ERADにおける基質認識機構、排出機構を中心に研究を進めている。